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かたりべ 少年



久しぶりに筆をとったので出来上がりが不安です。
今回はちょっとどろどろしいかんじになっちゃいましたが、ほんとは河童が書きたいです。そろそろ河童ねたはさもうかなぁ。三成さんも描きたい。部活も忙しくってもうばったんばったんしてます。

そんななか出来上がりました、和風かたりべんぬ。なんだか長い。
洋風かたりべんぬとはまた違った雰囲気をお楽しみいただけたら幸いです!ちょっと今回はいやな意味で人間味のあふれるお話になっております。


あと、子供が死んじゃった。という描写が入っております。残酷な話が苦手なお方はご遠慮ください。
アドバイス・誤字脱字報告・感想などいただければうれしいです。


それでは、追記から。






「さぁさぁ皆様お立会い!!今宵は満月、虫の涼やかな声を背景に語りますは、逃げることにまつわる話にございます!!!」

暗い闇の中、声を張り上げ叫ぶ少年の装いはまさに奇抜。
南蛮の装束でも、お武家様の格好でも、娘の格好でも、農民の格好でも、貴族の格好でもない。ただひたすら、人の目を引くためだけに作られたかのような奇抜な服装。金と黒の入り混じる長い髪。頬には桜の刺青。右手に赤と黒の扇子。

まだ幼さを残す顔で快活な笑みを浮かべるのは、今町で噂になっている「かたりべ」の少年である。
よく通る声に振り向くものは誰もいない。それもそのはず、今は夜である。この物騒なご時世。例え大通りであろうと、だれも進んで道を歩くことはない。

そんななかで、ざり。という音を立てて足を止めたのは、一人の侍。
まだ若いのだろうが、眉間には深い皴が刻み込まれそうとう老けて見える。
その侍は、少年の姿を確認すると呆れたように「はぁ」と溜息をこぼし再び大股で歩き出した。

「夜回りが面倒くさい貴方も、亭主に出す酒を切らしちまったご婦人も、家に帰りたくないお嬢さんも!!つまらぬ話はいたしませぬ、どうか足を止めてお聞きください!!」
「黙れ黙れ小僧!!あまり騒ぐと役所にしょっぴくぞ!今を何時と心得る!!」
「おぉ、これはこれはお侍様、今は亥の刻あたりでございましょうか?夜回りご苦労様です。」
「わかっているなら声を落とせ!明日の昼出直せ!!」

不機嫌なのを隠しもせず、大きな声と険しい目で少年をにらむ侍に対し、少年はにこにこしながら扇子をパン!と音を立てて開き、侍のほうへ向ける。

「えぇ、今は亥の刻にございます。しかしながら、貴方様が立ち止まって下さったとあらば、話をせぬわけにはいきませぬ。」
「ふざけるな!話を聞いていたのか!?」

激昂し、今にも刀を抜きそうな侍に対し、少年は扇を腰に挿してどこか憎めない朗らかな笑みを浮かべてそれを制し、よりいっそう笑みを深くして深く礼をしてみせた。

「まぁまぁ、お侍様。私はかたりべ。無礼を理由に首を切られるならば、死ぬ前に貴方様に語る物語があるのでございます」
「物語?面白い・・・では、その話がつまらないものであったなら。そのときは、お前を斬らせてもらう。」
「かしこまりました」

地味な色を着ており、今にも闇に飲まれそうな男に、闇のなかでも分かるような明るく派手な色合いの服の少年は薄暗い大通りで向き合い、町の静けさに映える虫の声を背景に語りだす。


「あぁ、なんと酷い所業。最早鬼か物の怪の仕業ではないのだろうか。そういって町人はおびえる毎日。我が子を返せと泣き暮らす夫婦。逃げる犯人追いかけて何処へ走るかお役人。最近、町で人斬り騒ぎが起きたのはご存知で?」
「あぁ、知っているも何も俺の管轄だ。」
「なんでも相手はまだ幼い子供の首を撥ねたそうで!!いやはや、物騒なことです。」
「全くだ、そんなことをするなど、同じ人とは思えん。」
「そうでございますね、親たちは皆必死になって子供を家の中に隠して守っているそうです。おかげで外には誰も出てこず、まこと寂しい状態。」

ふと、侍は少年はなぜこんな夜中に外でこの事件のことを語っているのか不思議に思った。見たところ少年は12,3歳程度。高下駄のせいで大人と変わらぬように見えるがまだまだ小さな子供だ。
こんな時間まで外にいて、大丈夫なのだろうか。と心配になったが、顔には出さない。とりあえず、自分がいる間は夜盗にも合わないだろう。

「なるほど、遊び相手がいなくて暇なのか。下手人をさっさと捕まえろとでもいいたいのか?」
「いえいえ、そのようなことではありませぬ。私が申し上げとうございますのは、犯人と子供の関係性ですよ!!」
「・・・なに!?貴様、何か知っているのか!!!」

子供と犯人の関係性がわかれば、わかってしまえば。あとは簡単だ。下手人は牢屋か死刑台へ送られ、この仕事が終わる。
侍は少年の胸倉を掴み上げ、「言ってみろ!!」と叫ぶ。

「実は、とあるお方が見たそうなのです。その現場を、ね。」
「それは、よもや」
「えぇ、その子供の母親です。気の毒に、笠をかぶった男に子供がよっていったところをばっさり!!それを見たのですから。まだ、4つの可愛い可愛い子供を目の前で。」
「あぁ、本当に気の毒に・・・、子供のことで頭が真っ白になり、犯人像など覚えていなかったそうだ。」
「その方、貴方様の幼馴染でいらっしゃいましたよね?」

なぜそれを、といいそうになったところで口を閉ざす。彼はかたりべ、噂話などに精通していて不思議はない。おそらくこの町でずっと暮らしているものの、日ごろ仕事に追われ、いまだ独り身である男よりもこの町のことを知っているだろう。

「あ、あぁ。確かにあいつは私の幼馴染だが・・・。」

ふと、侍は違和感を感じた。相手は幼い子供だというのに、この違和感は、恐怖感はなんだ。
まさか、知っているわけがない。事件の真相など。

知るのはたった一人、犯人だけなのだ。


「彼女の知り合いに話を伺ったところ、どうやら犯人はこの町にいる男のようなのです。しかも、母親が良く知る男。」
「そ、それがどうした!!」



侍のわずかに震える手が刀の柄に伸びる。
それをものともせず、子供らしからぬ笑みを浮かべ、少年は男に一歩歩み寄る。


「犯人、あんただって噂。ご存知?」


冷たく、暗い。この世のすべてを侮蔑するような瞳が侍をじっと見ていた。
逃れるように侍は刀の柄を掴む。
掴むだけで、抜けはしない。臆病な侍は、震えるだけだ。

「そのような、噂を信じるな、ど。真に愚かな、ことだ。」
「・・・、その反応を見る限り本当か。私が愚かかはどうかはともかく。あんたは、どうして自首しない?」
「黙れ、黙れ黙れ黙れ黙れ!!!!!」

侍は叫ぶ、少年は静かに問いただす。

「理由はなんだい?」
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!!!!」
「あんた、なんで。
自分の親友と幼馴染の子供を殺した?」

何かが崩れ去っていく音。
今まで必死に目を逸らしていたはずなのに、もう見えなくなっていたはずなのに。この少年はそれを一瞬にして侍の目の前に持ってきてしまった。

「私はかたりべ。あなたの話をお聞かせいただけますか?」

すとん。と何かが落ちた気がした。大切に守ってきた何かが。
侍は酷い虚無感に膝をついて押し黙り、少年はじっと黙ってそれを見下ろしているだけだった。

長い、長い沈黙のあとに侍はぽつり、ぽつりと言葉をこぼしだした。

「俺、は・・・憎くて仕方がなかった、俺を置いて幸せになっていく奴らが。
仕方ないと、割り切ることが、で、できなかった。

だから・・・・・・・・・・・・・・こ、ここ、こ、ころした。
殺し、たん・・・だ、俺は、あの子供を、この手で、奴に良く似た子供のくび、を。

怖くなった、自分が。人などもう斬れん、俺は、俺は。お、れは子供の、首を」

ろくに言葉を喋ることも出来ないほど、混乱状態の中。ついに、侍は認めてしまった。
長い間逃げ続けていた一つ目のそれにつかまった。
全身を震え上がらせ、ガチガチと歯を鳴らして膝を付き、頭を凭れさせる侍を少年はさめた瞳で見る。

おそらく、はじめ侍が少年と会ったとき、例え少年が侍をバカにするようなことを言ったりしても侍は怒鳴りこそすれど、決してその刀を抜くことはできなかっただろう。

冷め切った深い緑の瞳を細め、少年は侍のほうへ歩みよる。
自然と侍を見下ろす形になったところで少年は優しい、やわらかい声色でうずくまる侍に声をかける。

「ところで、もうひとつ。貴方は何故――――」
「や、やめろ。やめろ。言うな。俺は、俺が嫉妬したのは幸せになった、子供を持ったあいつだけだ。だから殺した。だから、やめろ、その先を言うな、やめろ、やめろやめろやめてくれよしてくれその先を言うなぁあああああああああ!!!!」


「幸せになった同僚が憎かった。ならば、何故同僚の奥様は殺さなかったのです?
あなたの動機は、他にあるのでしょう。例えば・・・そう、奥様に対する未練。」


くらり。

視界が歪み、一瞬少年が見えなくなる。
なぜだか、胸にぽっかりと穴が開いたような、全身の力が抜けていくような、開いた穴からすべてが流れ出していくかのような、そんな気がした。

とてつもない消失感と虚無感、脱力感に襲われ何も考えられなくなる。すべてが終わった。自分の罪につかまってしまった。罪から逃げることなどできやしなかった。
一番認めたくなかったそれに、ついに追いつかれた。
なにより認めたくなった、自分の中の醜い感情たち。

嫉妬、嫉妬、嫉妬嫉妬嫉妬。

認めたくなかった。
逃げていたかった。
自分の一部だと、思いたくなかった。

しかし、いくら逃げて隠せたとしてもそれは一時的なもの。自分が自分である以上は決してそれから逃げおおせることなど叶わないのだ。



ショックにより、視界がぐらり、ぐらりと揺れだす。
歪む意識のなか、ふっと何かがよぎる。





「おめでとう、二人が幸せなれたことが一番嬉しい。」
――憎い、憎い憎い。何故俺ばかりが。あいつばかりが。

「まぁ、ありがとう!結婚しても皆は親友よ!!」
――いやだ、いやだいやだいやだ。ずっと親友でいたかった。恋人なんて馬鹿なことをいいやしない。せめてずっとその笑顔をそばで見ていたかった。

「お前も早く幸せになれよ!!」
――誰がその幸せを奪ったというのだ、酷いやつめ。親友などと、どの口がいう!あぁ、憎い。憎い。
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い、憎い、にく、い。



男の目から光が消えた。糸が切れた人形のように、ばたりとその場に倒れる男。


「あなたの罪。・・・嫉妬を、たしかに語り継ぎましょう。」

倒れた男に微笑む少年。
彼はかたりべ。
彼の祖先が紡いだのは遠き神代のこと。
現在、彼が語り継ぐのは人の感情の末に起こる、罪。

倒れた男を一瞥し、静かにかたりべは礼をする。そのあとは振り返らない。まっすぐ、暗い闇の中へと消えていった。

彼はかたりべ。
語り継ぐもの。

彼はかたりべ。
罪を語るもの。

彼はかたりべ。
彼らは、罪を持った人の下にしか訪れることはない。



あとがき・・・・・

ということで、今回は和風テイストかたりべんぬでした!!洋風とはまた違った感じにしたかったのですが、いかがだったでしょうか?

このかたりべの物語はもう少し続く予定です。パソコンのお引越しをしたら、前のパソコンで使ってたソフトが使えなくなって、河童とかたりべんぬ洋風のデータが今手元にないのです・・・;ちきしょう。

さて、今回のシリーズの主題は「逃げる」。これからのシリーズも登場人物はなにかから逃げます。
ついでに、今回の話を通して、洋風かたりべではまだ見えない部分がちらちら見えます。

また、かたりべは史実に存在するかたりべとは全然違う存在です。昔の人は天皇の話とか、神様の話を一言一句たがわず話していましたが、このかたりべたちは、罪人の話を集めるのを目的としています。その先になにがあるか?それを最後に語れるといいなぁ・・・最後まで、いきつくのかなぁ。

あと、最後のほうでネタバレ?してしまったかもしれません。分かった人は拍手かなんかで答え合わせ。

次回の更新は・・・、未定です。携帯で写真とって絵をうpしてもいいかなぁ・・・、最近いっぱい絵を描くようになったので、アナログ絵もデジタル絵も下手ですがね。下手の横好きとはまさにこのことか。

部活がばたばたしていて、小説がかけませんが、ぼちぼち書いていくので生暖かい目で見守っていてください!それでは、次回の更新でお会いしましょう!!
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非公開コメント

世界に・・紫さんワールドにのみ込まれました!

凄い・・世界観と緊迫感。
戦慄の様なもので鳥肌がたちました!!

言葉で迫るかたりべ、逃げる侍
捕まった先に真実が!!!

深い、そして言葉でしか描けない臨場感・・見事な作品に圧倒された><vv
繰り返しの言葉が男の精神状態を指してるようで怖いのにわくわくする。
見事です!!
紫さんの世界の広がりに惚れます////

絵って好きな人の勝ちだと私は思ってます。
高校卒業して、それまで凄く絵がうまかった子がすべて描くのを止めたんだ。
恋や仕事、多くは遊びに夢中。
描き続けた私は友人の中でも下手な部類だった。。
今も好きだから・・ただそれだけです^^

だから応援してる♪
紫さんの世界は紫さんにしか描けないから、楽しみに待ってます♪

Re: 世界に・・紫さんワールドにのみ込まれました!


返信遅れすぎましたすみませぇえええええええええええええん!!!!!


和風かたりべ、お褒めにあずかり光栄でございます!!
少しでも楽しんでいただけたなら本当によかったです、今回のはちょっとリハビリも兼ねての小説だったのでちょっと不安だったのですが、コメントをいただいて、読んで、本当に安心しました。

kiyonさんの言葉に後押しされて、アナログ絵の公開をすることを決めました。低クオリティですが、見ていただければ幸いです!

それでは!コメント、ありがとうございました!!
プロフィール

紫

Author:紫
のんびりブログやってます!
更新速度は亀なみですが、よろしくお願いします!

スランプを脱却したものの底辺である文章力に変わりは無く。それでも楽しく書けるようになりました!絵のほうは着々と三成さん漫画アップ準備中。携帯で撮影・パソコンへ転送・あっぷ!という方法をとる予定。

リンクフリーで、相互リンク大歓迎です。
ブロともも募集中。よろしければ気軽に声かけてくださいな。

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